妻の不倫による離婚及びその周辺整理を行った例

平成14年前期東京地裁判決、同年後期東京地裁和解成立

1 相談前

妻の不倫に悩む夫からの相談事例

2 相談後

不倫相手と任意交渉するも誠意が見られないため、自宅に対し仮差押を掛け、損害賠償訴訟提起。その訴訟中で妻が証人出廷し、不倫相手を擁護する証言を行ったため、妻の預金に対して仮差押を掛け、損害賠償訴訟提起。

3 弁護士(大越)からのコメント

妻に対する後発訴訟提起の直前に、夫と妻は協議離婚しました。夫としては、不倫相手から誠意ある謝罪があればそれで矛を収めるつもりだったのですが、不倫相手からも妻からも謝罪がなく、結果として法的手続を重ねることとなりました。なお、妻が外国人であったことも本件が複雑化した原因だったのかもしれません。

離婚に際し、妻が夫に請求した慰謝料請求の大部分を遮断した事例

平成14年後期千葉家裁和解成立

1 相談前

本件の本体は別居後の妻が提起した離婚訴訟です。妻が主張する離婚原因は主として夫の不貞であり、それに伴って比較的多額の慰謝料請求もなされました。

2 相談後

夫婦間で協議離婚すること、当初請求額より相当減額した解決金を支払うことなどを内容とする和解が成立し、決着しました。

3 弁護士(大越)からのコメント

夫婦間で協議離婚すること、当初請求額より相当減額した解決夫の不貞は否定しようがないほどの証拠が提出されたため、当方は、不貞は婚姻関係破綻後のものであったと反論し、婚姻関係破綻が大きな争点となりました。ただ、妻の行動に疑問を感じて調査したところ、妻も従前から不貞を行っていたことが判明し、それを反撃材料としました。

マンション新築に伴う近隣住民とのトラブルを解決した事例

平成12年後期協定成立、平成13年前期協定成立、平成14年後期協定成立・その他

1 相談前

大規模マンション新築計画が持ち上がり、既存の近隣住民が建築反対運動に乗り出すなどのトラブルが顕在化した。

2 相談後

第三者的立場において、工事の方法に関する取り決めや、適正妥当なレベルでの和解金を近隣住民に支払うことなどを条件とした建築協定書を作成調印し、解決した。

3 弁護士(大越)からのコメント

このようなトラブル処理事案は幾つか手がけております。近隣住民の側に立って建築工事差止仮処分などを申し立てるのも一つの方法ですが、建築工事を未来永劫に亘って阻止することは法的には容易ではなく、結局のところ金銭解決などの和解で終結する訴訟事件も少なくないと思われます。そうであれば、裁判手続を利用する前に近隣住民と建築業者が胸襟を開いて徹底的に話し合い、相互理解のうえで合意を締結できるとすれば、それは費用対効果の面でも優れた解決方法と思われます。

離婚被告事件で、原告からの解決金支払等を条件として協議離婚する旨の和解を成立させた事例

平成17年後期東京家裁和解成立

1 相談前

本件は、別居中の夫(原告)から妻(被告・依頼者)に提起した離婚訴訟。夫婦は3年ほどの同棲のあとに婚姻したが、婚姻直前から妻は重度の鬱病となり、婚姻後にはリストカットを繰り返し、また突如として取り乱すなどするようになり、入退院を繰り返した。また夫も仕事に悩み、妻の看護に疲れたなどの理由から鬱病となり、入退院を繰り返すようになった。結局婚姻後の夫婦の同居期間は3年程度で、その後夫婦はそれぞれの実家に引き取られ、その後離婚調停から訴訟に至った。

夫が主張する離婚原因は精神病(民法770条1項4号)と一般条項(同項5号)であり、当方は鬱病は「強度の精神病」ではなく、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」も具体的内容が不明であるなどと徹底抗戦した。

2 相談後

夫婦間で協議離婚すること、夫は妻に相応の解決金を支払うこと、また、離婚するに至った原因は双方が若く力不足であったことにあることの確認条項を特に入れることとして和解が成立し、決着した。

3 弁護士(大越)からのコメント

本件は実に切なくやりきれない事案でした。夫婦とも資産家の実家に生まれ、夫は鬱病に罹った妻を看護する目的で同棲から婚姻に至りました。ただ、そのような思いやりの気持ちと裏腹に夫も鬱病に罹り、婚姻関係維持が困難となりました。ですからどちらに非があるということではありません。本件で双方の親は離婚やむなしとの考えでしたが、少なくとも妻は依然として夫に愛情があり、ただ、半ば強制的に別居をするに至ったことには被害者意識をもち、訴訟当初は離婚に抵抗しておりました。

当職は、依頼者の気持に忠実になれば離婚に抵抗すべきですが、さりとて現実的に客観視すれば、それぞれ入退院を繰り返す夫婦が一般通常の夫婦生活を維持できるとも思われず、弁護士として如何に対処すべきか非常に迷いました。ただ、最終的には両親の協力を得て説得し、和解が成立しました。和解条項の中で解決金給付は、依頼者から見れば、夫から遺棄されたと考えていることへの慰謝料の趣旨です。しかし夫の立場では自分だけ悪者にされることは納得がいかず、そこで折衷策として若さ故に別れることとなった旨の確認条項を入れることで落としどころとしました。